こんにちは、かこママです。
金融リテラシーを向上させるためには、お金の仕組みやお金の歴史についても勉強をする必要性があるということを知り、お金の仕組みや歴史について勉強中です。そんな中、「新しい時代のお金の教科書(著者:山口揚平、出版社:筑摩書房)」という本が気になり読んでみました。
この記事では、読んだ感想や家庭でのお金の教育に役立ちそうな部分を紹介したいと思います。
新しい時代のお金の教科書とは
著者の山口揚平さんは、事業家・思想家で、専門は貨幣論、情報化社会論。1990年代より、ダイエーやカネボウなどの大型M&A(企業買収)に関わる。30歳で独立し、宇宙開発から劇団経営まで複数の会社を運営するかたわら、執筆、講演活動を行っている。
本の内容は、著者の独自の経験から、お金の起源、歴史、そしてこれからお金に影響を与える大きな変化、お金の未来までをできるだけ体系的に紹介しています。今、お金を中心に大きな転換点が来ています。お金の本質はどの時代においても「信用」です。新しい時代を生きる人たちに向けて、「お金」知恵を授け、その未来を予言する一冊です。
お金の本質とは
お金の本質とは信用である。
そして「お金は稼ぐものではなく、実は”創るもの”である」
21世紀で大事なことは、人や国家がつくったお金をもらうというスタンスではなく、自らお金(信用)を創り出すということなのです。
本書を読んで、これからの時代を生き抜くには「お金の本質=信用」をきちんと理解し、これから大人になる子ども達にきちんと伝えていかなければいけないことだと感じました。
ピカソはお金の天才!?
本書では、お金の本質にまつわる話として画家のピカソの話が出てきます。この話がとても興味深かったので紹介させて頂きます。
パブロ・ルイス・ピカソ(Pablo Ruiz Picasso, 1881年10月25日 – 1973年4月8日)は、スペインのマラガに生まれ、フランスで制作活動をした画家。生涯におよそ1万3500点の油絵と素描、10万点の版画、3万4000点の挿絵、300点の彫刻と陶器を制作。
出典:Wikipediaより
ピカソは高級ワイン(シャトー・ムートン・ロートシルト)のラベルを描いた際、その代金をお金ではなくワインで受け取っていたということです。
その理由は、ワインの熟成年数×ピカソの名声により将来的にはワインの値段が上がると考えたからです。

一般的には、ワインを受け取るという発想にはならないですよね!?
また、ピカソは少額の支払いでも小切手を使っていたということです。小切手は銀行で換金しますが、ピカソからもらった小切手はピカソのサインが書いてあるので、銀行で換金せず手元に置いておく店主もおり、実際には代金を支払わずに済んだということも多かったようです。
つまり、「お金の本質」を理解していたピカソは、どうすれば自分や作品の価値が上がり、人に影響を及ぼすことができるかを知っていたということです。

お金の本質を見抜いていたピカソはすごいな
という思わず関心してしまいました。
小切手とは(おまけ)
ちなみに、かこママは小切手についてちゃんと理解していなかったので小切手について調べてみました。
一般社団法人全国銀行協会のHPに「動物たちと学ぶ 手形・小切手のはなし」というのがありました。もし、小切手について詳しく知りたいという方は読んでみて下さい。

お金の起源について
お金の起源と言えば、物々交換というイメージがあるのではないでしょうか。

かこママもそう思っていました。
しかし、本書ではお互いの賃借の記帳がお金の起源だと記載されていました。
ミクロネシアのヤップ島にフェイという大石が、お金の起源だと言われており、フェイにはお互いにもらったもの、あげたものを刻んでいたのです。つまり、お金というツールがない時代に記帳(記録)というものがあったということです。
また、最近はこの記帳の仕組みがビットコイン(Bitcoin)をはじめとした仮想通貨やその元となっているブロックチェーン(分散型台帳:暗号化された取引が各々の持つ台帳に記帳され、あらゆる人がこの台帳を分散して持つ)で注目されています。
つまり、お金は記帳から始まって、貨幣が登場し、また記帳へ戻ってきているいう話はとても面白いと思いました。
お金の四つの大きな変化
現在、国家、技術、社会、経済の四つの大きな変化がお金に大きな影響を与えているということです。この変化をしっかり理解しておかなければ、今後お金と上手に付き合っていくことはできません。
国家から個人へ~個人がお金を発行する時代へ~
お金は国家によって担保された信用によって流通していますが、今後は企業や個人がお金を発行する時代に突入します。フォロワー数の多い個人が発行するお金の方が強い汎用性を持つようになるということです。そして、最後にはお金を介さず人々が取引をするようになるのです。
空間から時間へ~インターネットと双璧をなす革新技術~
ブロックチェーン(分散型台帳)と言う技術によって個人の取引と信用が記帳し続けることができるようになります。
ブロックチェーンとは、一般に、「取引履歴を暗号技術によって過去から1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術」とされています。データの破壊・改ざんが極めて困難なこと、障害によって停止する可能性が低いシステムが容易に実現可能等の特徴を持つことから、銀行業務・システムに大きな変革をもたらす可能性を秘めています。
出典:一般社団法人全国銀行協会 HPより

モノからコトへ~人はもはや物を求めていない~
人間は、生存欲求(自然に生命の安全や食の欲求)が満たされると、社会的承認の欲求を求めるようになります。モノが多くの人に普及し過剰になっている現在、人々の欲求が生存欲求から社会的欲求へと急激にシフトし、モノからコトへの消費へと変化しています。
タテからヨコへ~究極のネットワーク社会の到来~
国家が発行した貨幣を使う時代は完全なタテ社会(人間社会において、役職・階級など上下の序列が重視される社会)でした。
しかし、これからの社会はもっと濃いネットワークの中でそれぞれの個人の信用が担保され、やり取りをする世界(ヨコ社会)です。このヨコ社会では、広大なネットワークを自らのつながりと信用を使って、必要に応じて、資源を融通しあいます。それは、相互扶助の仕組みであり、それぞれの社会的欲求を満たすことに適しています。
お金の変化
お金は必要に応じてプロジェクト単位でクラウドファンディングを用いて集めることができますし、知識や情報もヨコのネットワークで調達することが可能です。
信用を自由にお金に換えられるツールが浸透し、手軽に使えるようになると、お金を貯めるのでなく、社会的信用を貯める方が有効になってきます。
お金の未来とは
本書の最も大事なところは、「お金を使ってモノをやりとりしていた資本主義から、時間主義経済、記帳主義経済へとシフトし、最後に信用主義経済へ進みます」という点だと著者は述べています。
時間主義経済とは
時間主義経済とは、人々の欲求がモノではなく社会的欲求(コト)にシフトしたときに、人々がお金ではなく時間を中心にして経済活動を行うことです。個人に帰属する数字は時間しかないので、時間がお金の代わりになります。そのため、人々は時間をより大切にするようになるということです。
記帳主義経済とは
記帳主義経済とは、モノを対象としながらもそれをお金を使わないで流通させようという試みです。モノを互いにシェアする中で、あげたもの、もらったものをブロックチェーン技術等を利用し、すべて記帳してしまうことで、与える人(Giver)と受け取る人(Taker)がはっきりするので、お金を使う必要性がなくなります。
また、アダム・グランドが書いた「GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 」(出版社:三笠書店)でこの世の中にはギバー(相手の利益になるようにもっていき、受けとる以上に与えようとするタイプ)、テイカー(自分の有利になるようにもっていき、より多くを受け取ろとするタイプ)、マッチャー(与えことと、受けとることのバランスを取ろうとするタイプ)の3種類がいると述べていますが、記帳主義経済では誰がギバーで誰がテイカーなのかわかるので、他者に価値を提供し続けるギバーが成功に一番近くなるということです。
信用主義経済とは
信用主義経済とは、人々が求めるものが信用であり、それをやり取りするツールも信用であるという世界です。手段と目的が信用という一点で統合した世界、それは名実ともにお金がなくなる世界のことです。

お金がなくなる日というのは、まだ想像がつきませんが、お金の本質である信用が今後とても大切であるということは理解できました。
まとめ
本書を読み、目まぐるしく変化する現代社会において、お金も例外ではなくどんどん変化していくのだと感じました。日本人はお金について話すことをタブーにしていますが、お金について知ろうとしなければ今後ますます世界との金融リテラシーの差は広がっていくのだろうと危機感を覚えました。
また、お金の起源は記帳から始まり、貨幣が登場し、ブロックチェーン技術によりお金が記帳へ戻ってきていることを考えると、お金の歴史を学ぶ必要性を再認識しました。
お金の歴史や未来、そしてお金とは何かについて勉強したいなと考えている親御さんには是非とも読んで頂きたいと1冊です。
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